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23年目の謎解 




東雲を待ちながら・・・、23年。






友達の別れた嫁ハンのところに満中を持っていった次の日、地元の詫間を回った。

満中のリストをもらって地図を見たときにピンときていた・・・。

太い道路に車を止め、小雨の振る中傘も差さずに細い路地へと足早に急ぐ。

雨で商品が濡れないようにジャンバーの中に潜り込ませ配達先の家に向かう。

目的地のお宅に着くとやはりその家は先輩の小田くんの家だった・・・。




古いアルバムをめくるように自分の記憶を紐解いてみる。

「K本、ボツボツな~!」


小田くんと俺は、俺が21歳のときに同じ会社で働いていた。いわゆる同僚ってやつ。

普通小田くんではなく、小田さんというのが人生の礼儀というやつなのだが

若かりし俺は敬語の使い方も知らない若造で、タメ口なんかもきいていたと思う。

そんな俺を、同じ詫間ということだけで可愛がってくれた。

小田くんとの付き合いは小田くんが会社を辞めるときまでの約半年ぐらいだった思う。

俺を見るといつも「女紹介せ~。」と言っていた。俺はそれが小田君の口癖かな

そう思っていたのだが俺だけに言っていたらしい。俺はいつも軽く受け流していた。


小田くんは筋肉質で体も顔も岩みたいな感じだった。

大きな単車が好きで、何という単車だったか忘れたがそれで通勤していた。

よく帰りの浜街道の道を小田くんの単車と俺のシャコタンソアラでレースしながら帰ったっけな。

多度津の倉本水産の急カーブで、横スベリするソアラを尻目に凄いスピードで曲がっていった。

あのとき、四輪よりも二輪のほうが直線だけでなくカーブも早いということを初めて知った。

俺は「そんなに飛ばして事故でもしたらどうすんや、安全運転!!!」なんてよく言ってた。

硬派な単車野郎そん奴が小田くん、いや先輩の小田さんだった。




よくこの家にも遊びにきたな~、懐かしい何十年ぶりだろう・・・。

一通り辺りを見回してからチャイムを鳴らした。

「ピンポ~ン」留守かな?

もう一度「ピンポ~ン」・・・、

中で人の気配がした。

俺は雨に濡れない所で家の人が出てくるのを待った。

ガチャガチャ、カッチャン。

横のドアから小田くんそっくりな顔をしたお袋さんが現れた。

そのとき、頭の中でボヤっとしていた小田くんの顔が私の脳裏にクッキリと浮かんだ。

満中を受け取り、そのまま引き下がろうとするお袋さんに俺は急ぐように声をかけた。

「あの~、私昔に息子さんの小田くんと一緒に働いていたことがあって・・・、」

「ここにもよく遊びにきました。」 ・・・、

「・・・、」

俺は一呼吸入れてから口を開いた・・・。

「あれから何年になりますか?・・・」

お袋さんはゆっくり口を開いた。

「今年で二十三回忌になるんです・・・」

「早いもんですね。あのとき突然に会社を辞められて・・・」

あのとき小田くんは突然会社を転職すると言った。

次の会社は岡山にあってもう決まってるとも言った。

条件がよくってな~、なんて言ってたっけな。

お袋さんはゆっくりと話しだした。

「親は子供のことが心配で早く身を固めてほしくって心配してたんです」

「息子は時期になったらするきん心配するな、なんて言ってました」

「岡山に変わったときに決めた女性がいるからって言われて、ホッとしてたんです」

「今度連れてくるっていってた矢先のことでした・・・」

小田くんに最後の挨拶してから2ヶ月後のことだった。

小田くんは鷲羽山ハイランドのちょうど前の道路で単車で事故を起こし亡くなった。

そのとき小田くんは29歳だった・・・。

私は仏壇に線香をあげたかったがその言葉を寸前で飲みこんだ。

私はお袋さんに挨拶をし、小雨に打たれながら細い路地から太い道路に出てきた。

レジアスエースに乗りこんだとき、小田くんの最期の言葉が脳裏を駆け巡った。

ちょうどこの場所だったな・・・。




「明日から岡山行くきん晩飯でも付きあえや」

晩飯が終わってこの場所にソアラから小田くんを下ろした。

あのとき岩みたいな顔をくしゃくしゃにしながら小田くんは言った。

「K本、ボツボツな~!」

俺は「女紹介せんでええよになったきんよかったわ」と、精一杯強がった。

あれが最後だったな~。

あのときの小田くんの笑顔には理由があったんやな。

人生という設計図が出来あがり、それに向かって生きて行こうとしてたんやな。

小田くんが口癖で言ってたセリフにも訳があったんやな。

突然会社辞めたんもわかったわ。

それならそれでそう言えよな~。

小田くん、何してるんや?

俺な、遊び友達が減ったきんちょっとヘソ曲げてたんやで。

小田くん、将来を約束してる人泣かして何してるんや?

親を泣かして何してるんや?

一人で逝って何してるんや?

あのとき、突然明日小田くんの葬儀やって聞かされ、何がなんだか分からなかった。

俺何回も言ったよな!

スピード出すなって、安全運転しろって。

バカ野郎、23年もの前のこと思い出してしまったやんけ~。

涙が止まんね~よ、バカ野郎。

この場所でいるとあの頃の小田くんがいるようでならない。



小田くん、あっちでも元気でやってるか?

お袋さんは思ったより元気そうだったよ。

有名な漫画のセリフだが、あの世で鬼でもぶっちぎりな。



俺か?

おかげで俺はボツボツやってるよ。





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